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深谷 裕司; 後藤 実; 柴田 大受
IAEA-TECDOC-2040, p.133 - 136, 2023/12
日本では、エネルギー資源の確保を目的として、高速増殖炉によるマルチリサイクル核燃料サイクルの確立に向けたバックエンド技術の開発を進めてきた。高速増殖炉開発は基礎研究にとどまっているが、軽水炉燃料サイクルに関しては、ウラン燃料の再処理技術や処分技術をその過程で完成させた。これらの技術は事業者に引き継がれ、実用化されつつある。現在、日本では、高温工学試験研究炉(HTTR)、商用高温ガス炉概念であるガスタービン高温炉設計GTHTR300、及び関連する再処理技術が完成し、国内実証炉計画が進行中である。このような背景から、日本における代表的な核燃料サイクル政策は再処理であるが、日本では、商用高温ガス炉の利用を拡大するために、様々な核燃料サイクルシナリオを検討してきた。そこで、本研究では、そのシナリオと関連技術の開発状況について紹介する。
坂本 義昭
原子力バックエンド研究(CD-ROM), 30(1), p.15 - 18, 2023/06
原子力発電を行うための一連のプロセス全体を核燃料サイクルと呼ぶが、その各プロセスからは様々な種類の放射性廃棄物が発生する。これらの放射性廃棄物はこれらの一連の施設の操業及び廃止措置から発生し、放射能濃度やその性状に応じて適切な処理と処分が行われる。ここでは、基本的な核燃料サイクルの概要及びバックエンドと呼ばれる放射性廃棄物(核燃料サイクル以外の施設での放射性物質の利用による放射性廃棄物も含む)の処理・処分の基礎について概説する。
内野 聖子*; 成田 弘一*; 北 圭介*; 鈴木 英哉*; 松村 達郎; 長縄 弘親*; 坂口 幸一*; 大渡 啓介*
Solvent Extraction Research and Development, Japan, 30(1), p.39 - 46, 2023/00
トリアミドアミン, tris(N,N-di-2-ethylhexyl-ethylamide)amine (DEHTAA)による硝酸水溶液からの3価希土類イオン(RE)の抽出について検討した。抽出メカニズムは、硝酸水溶液からのREの抽出挙動、原子番号と抽出割合(E%)の関係によって評価した。DEHTAA分子は、硝酸濃度1.0Mと平衡となった有機相においてDEHTAA-HNO錯体、硝酸濃度6.0Mと平衡となった有機相においてはDEHTAA(HNO)錯体を主として形成した。このことにより、軽REのE%の硝酸濃度依存性は、0.5Mにおいて最小、2M HNOにおいて最大となるユニークな特性を示す。REの分配比のスロープアナリシスの結果は、硝酸濃度1.0Mでは主なRE錯体はRE(NO)DEHTAA(DEHTAA HNO)であることが示唆された。硝酸濃度1.0Mでは、E%はLaからLuに向かって減少したが、硝酸濃度0.25MではLaからNdに向かって増加、硝酸濃度6.0MではLaからSmに向かって増加した。
大島 宏之; 森下 正樹*; 相澤 康介; 安藤 勝訓; 芦田 貴志; 近澤 佳隆; 堂田 哲広; 江沼 康弘; 江連 俊樹; 深野 義隆; et al.
Sodium-cooled Fast Reactors; JSME Series in Thermal and Nuclear Power Generation, Vol.3, 631 Pages, 2022/07
ナトリウム冷却高速炉(SFR: Sodium-cooled Fast Reactor)の歴史や、利点、課題を踏まえた安全性、設計、運用、メンテナンスなどについて解説する。AIを利用した設計手法など、SFRの実用化に向けた設計や研究開発についても述べる。
岡村 知拓*; 西原 健司; 方野 量太; 大泉 昭人; 中瀬 正彦*; 朝野 英一*; 竹下 健二*
JAEA-Data/Code 2021-016, 43 Pages, 2022/03
今後の核燃料サイクルの確立・高度化には、将来の原子力発電シナリオに応じて発生する多様なマスバランスを定量的に予測・分析することが求められる。しかし、核燃料サイクルはフロントエンドからバックエンドまでの多様な工程によって構成されており、モデル化の複雑さ、想定されるシナリオの多様さなどからシナリオの分析は容易ではない。そこで日本原子力研究開発機構と東京工業大学は、天然ウランの採掘から地層処分の核種移行工程までのマスバランスを統合的に解析するためのツールとしてNMBコードを開発した。NMBコードは、汎用性のある各工程の記述、広範なデータベース、高速な核種変換計算などを備え、ユーザーが指定する発電量や再処理容量などの条件に基づいて、各工程におけるマスバランスを定量化することができる。またNMBコードは多様なステークホルダーが利用できるように実行プラットフォームをMicrosoft Excel(R)としている。本ユーザーマニュアルでは、NMB4.0版のデータベースならびにシナリオ入力を作成する方法を述べる。
佐賀山 豊; 澤田 哲生*; 田中 治邦*
エネルギーフォーラム, (807), p.18 - 22, 2022/03
核燃料サイクルの必要性,将来性,課題(コスト,軽水炉サイクルの是非など)などを議論する。カーボンニュートラルの潮流により、今後、各国で原子力(軽水炉)発電所が建設ラッシュを迎える。そのため、天然ウランの価格高騰が予想され、高速炉サイクル開発の必要性が増している。もんじゅまでの開発で蓄積してきたわが国の産業界や原子力機構が保有している、高速炉の設計・建設・運転・保守などの技術を散逸させず、高い安全性と経済性を兼ね備えた高速炉の実用化概念を世の中に提示し、速やかに実現させるべく、開発を着実に進めることが肝要。
芳中 一行; 鈴木 将文*
技術士, (659), p.4 - 7, 2021/11
福島第一原子力発電所事故を契機に原子力施設の規制基準が見直された。核燃料サイクル施設に対しても自然災害への対策、重大事故への対処など多くの要求が追加された。六ヶ所再処理施設では原子燃料のリサイクルの実現を目指して、新しい基準に適合させ、安全性を向上させるために各種安全対策が進められている。
玉井 広史; 持地 敏郎; 千崎 雅生*; 岩本 友則*; 石黒 穣*; 北出 雄大; 佐藤 丙午*; 末廣 利恵*; 谷口 富裕*; 深澤 哲生*; et al.
第41回日本核物質管理学会年次大会会議論文集(インターネット), 4 Pages, 2020/11
近年、我が国のプルトニウム利用の停滞及び核燃料サイクルの核不拡散・核セキュリティに関する批判が一部で増していることを踏まえ、核燃料サイクル政策の持続的発展に向け、こうした批判の妥当性を吟味し核不拡散・核セキュリティ上の観点からの課題等について検討した。
深澤 哲生*; 星野 国義*; 山下 淳一*; 高野 公秀
Journal of Nuclear Science and Technology, 57(11), p.1215 - 1222, 2020/11
被引用回数:1 パーセンタイル:11.8(Nuclear Science & Technology)将来の核燃料サイクルシナリオの変化に柔軟に対応可能なプルトニウム管理システム(FFCI)の概念を開発し、成立性を定量的に評価した。この概念では、軽水炉使用済燃料の大部分を占めるウランのみを粗分離・回収し、プルトニウムは精製せずマイナーアクチノイドや核分裂生成物とともに、容量の小さい「リサイクル原料」として貯蔵する。将来において具体的なプルトニウム利用方法(高速炉あるいは軽水炉MOX燃料等)の決定を受けて初めてプルトニウムを精製して利用することから、現行の核燃料サイクルシナリオと比較して核不拡散性が高い。この概念の技術的課題となるウラン回収とリサイクル原料の一時貯蔵に関して、文献調査、模擬物質による基礎実験、計算コードによる臨界・発熱対策等の検討結果を本論文にとりまとめた。
持地 敏郎; 千崎 雅生*; 玉井 広史; 岩本 友則*; 石黒 穣*; 北出 雄大; 佐藤 丙午*; 末廣 利恵*; 谷口 富裕*; 深澤 哲生*; et al.
エネルギーレビュー, 40(8), p.56 - 57, 2020/07
我が国が有するフルスケールの核燃料サイクルを維持するため、IAEA保障措置や核セキュリティの厳格な適用を継続することが必要である。長年にわたる核燃料サイクル、核物質管理等における技術開発の知見・経験を活かし、世界の核不拡散・核セキュリティ強化について科学性,実証性を持った効果的・効率的な推進に向け、新技術の開発や高度化、人材育成及び国際制度の改革等に積極的に取組み、国際社会からの信頼を一層醸成していくことが肝要である。
持地 敏郎; 千崎 雅生*; 玉井 広史; 岩本 友則*; 石黒 穣*; 北出 雄大; 佐藤 丙午*; 末廣 利恵*; 谷口 富裕*; 深澤 哲生*; et al.
エネルギーレビュー, 40(7), p.58 - 59, 2020/06
わが国は、IAEA保障措置協定や日米原子力協力協定に基づく厳格な核不拡散の確保はもとより、利用目的のないプルトニウムは持たないとの原則に基づき、内外に透明性を明らかにしつつプルトニウムの平和利用を進めてきた。今後も、核燃料サイクルを推進していくうえで、こうした施策を堅持し、当面のプルトニウム利用をプルサーマルによって維持するとともに、将来的には高速炉サイクルによって大規模かつ長期にわたるエネルギー供給および環境負荷低減を図ることが望まれ、その持続的な研究開発が重要である。
持地 敏郎; 千崎 雅生*; 玉井 広史; 岩本 友則*; 石黒 穣*; 北出 雄大; 佐藤 丙午*; 末廣 利恵*; 谷口 富裕*; 深澤 哲生*; et al.
エネルギーレビュー, 40(6), p.58 - 59, 2020/05
原子力平和利用の推進には安全の確保のみならず、核不拡散、核セキュリティの確保が重要であり、これまでわが国は、保障措置対応や核物質防護等に厳格に取り組むとともに、これらに関する技術開発や人材育成等を通じて核不拡散や核セキュリティ能力の強化において国際社会に貢献してきた。しかし、2011年の福島第一原子力発電所事故を契機に、我が国の原子力発電所の再稼働やプルトニウム利用がスムーズに進まない現状から、プルトニウム保有量の増大等に対して核不拡散・核セキュリティ上の懸念が示されている。我が国の核燃料サイクル政策に対する上記のような懸念を吟味し、また、今後の我が国の核燃料サイクル政策の持続的発展のための取組み等について取りまとめた。
早船 浩樹; 前田 誠一郎; 大島 宏之
日本原子力学会誌ATOMO, 61(11), p.798 - 803, 2019/11
2018年12月の原子力関係閣僚会議で決定された「戦略ロードマップ」では、今後の10年程度の開発作業が特定され、その中で原子力機構(JAEA)が果たすべき役割が提示された。これを受けて、JAEAでは、高速炉サイクルの炉システム分野と燃料サイクル分野(再処理技術,燃料製造技術,燃料・材料開発)の当面5年程度の研究開発計画の大枠を作成した。今後は当該研究開発計画を元にしてJAEAとしての主体的な研究開発を推進すると共に、得られた研究開発成果をJAEAが有する各種の試験機能と合わせて民間等の活動に提供すること等を通じて、今後の高速炉開発に対して積極的に貢献していく。本稿では、JAEAの取組方針、これを受けた大枠の研究開発項目の概要(先進的設計評価・支援手法: ARKADIAの整備、規格基準体系の整備、安全性向上技術の開発、燃料サイクル分野の研究開発)、国際協力の活用方針と人材育成、今後の展開について解説した。
Baron, P.*; Cornet, S. M.*; Collins, E. D.*; DeAngelis, G.*; Del Cul, G.*; Fedorov, Y.*; Glatz, J. P.*; Ignatiev, V.*; 井上 正*; Khaperskaya, A.*; et al.
Progress in Nuclear Energy, 117, p.103091_1 - 103091_24, 2019/11
被引用回数:75 パーセンタイル:94.03(Nuclear Science & Technology)本論文では、将来のクローズド燃料サイクルにおける使用済燃料のための分離プロセスに対する国際的リビューの結果が、技術成熟度評価の結果ととともに示されている。本研究は、ORCD/NEAで組織された燃料リサイクル化学に関する専門家グループによって実施されたものである。本研究の特徴的な点は、分離プロセスを使用済燃料中の分離対象元素(ウラン, ウラン-プルトニウム, マイナーアクチノイド, 発熱性元素等)別の分離階層により区分けして評価したことであり、これに使用済燃料の前処理プロセスの評価を加えている。分離プロセスとしては湿式プロセスと乾式プロセスの両者をカバーしている。
高野 公秀
我が国将来世代のエネルギーを担う核燃料サイクル; 脱炭素社会のエネルギー安全保障; NSAコメンタリーシリーズ, No.24, p.163 - 167, 2019/03
本解説記事は、「我が国の核燃料サイクル現状と将来展望」の大テーマのもと、マイナーアクチノイド(MA)核変換のための窒化物燃料サイクルに関する研究開発の現状と今後の方向性について解説したものである。原子力機構におけるMA含有窒化物燃料の製造、物性データ取得・ふるまい解析、乾式再処理の研究成果概要と、窒素15同位体濃縮技術の検討状況についてとりまとめた。
藤田 峻也*; 阿部 豊*; 金子 暁子*; 湯浅 朋久*; 瀬川 智臣; 山田 美一; 加藤 良幸; 石井 克典
Proceedings of 26th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-26) (Internet), 8 Pages, 2018/07
使用済燃料を再処理する工程において、マイクロ波加熱脱硝法により、硝酸ウラニル・硝酸プルトニウム混合溶液から酸化ウラン・酸化プルトニウム混合酸化物粉末を製造している。将来に向けた量産規模の脱硝技術開発において、マイクロ波加熱時の沸騰中の突沸及び噴きこぼれを防止するため、十分に運転条件を把握することが求められる。本研究においては、高誘電損失の硝酸ウラニル水溶液の模擬物質として塩化カリウム水溶液において、KCl濃度の増加に伴う誘電損失の増加に伴い、溶液表面でマイクロ波が損失することを実験及び電磁場解析により確認し、加熱状態の変化が突沸の発生に影響を及ぼすことを明らかにした。
須田 一則; 清水 亮; 田崎 真樹子; 玉井 広史; 北出 雄大
日本核物質管理学会第38回年次大会論文集(インターネット), 9 Pages, 2018/04
1974年に実施されたインドの核実験以降、世界的に核不拡散に関する議論が実施されている。まず国際的な核燃料サイクル評価(INFCE)では、核拡散防止の観点から、濃縮能力、長期供給保証、再処理、プルトニウムの取扱い、高速増殖炉、使用済燃料の管理、新型燃料サイクル等、といった広範にわたる議論が行われた。その後、イラクや北朝鮮の核問題から、IAEA保障措置協定追加議定書が起草されるなど、制度的な強化が行われた。近年においては、IAEAの革新的原子炉及び燃料サイクル国際プロジェクトや第4世代原子力システムに関する国際フォーラムにおいて、核拡散抵抗性に係る評価手法の検討、また核物質が有する内在的な抵抗性に係る研究が各国の専門家の間で進められている。本報告では、INFCE-WG4(再処理、プルトニウムの取扱いとリサイクル)の代替技術(コ・コンバージョン、コプロセス等)の議論を基に、核拡散リスクの最小化に関する動向と今後の展開について検討する。
辻本 和文; 荒井 康夫; 湊 和生
日本原子力学会誌ATOMO, 59(11), p.644 - 648, 2017/11
本稿は、日本原子力学会「放射性廃棄物の分離変換」研究専門委員会において、国内外における分離変換技術や関連する技術の研究開発状況について調査・分析してきた結果を基に、長寿命核種の分離変換技術の現状について、4回に分けて紹介するものである。第4回にあたる本稿では、加速器と未臨界炉を組み合わせた加速器駆動システム(ADS)と核変換用窒化物燃料を用いた核変換システムについて解説するとともに、分離変換技術の開発がどの段階まで進んでいるのかを解説する。ADSについては、ADSによるMA核変換システムの特徴について述べるとともに、日本原子力研究開発機構(JAEA)で概念検討を進めている液体鉛ビスマス冷却システムを解説した。また、JAEAで実施中の主な研究開発項目を述べるとともに、現在計画中の新たな実験施設を紹介した。窒化物燃料については、MA核変換システム用燃料としての特徴、製造技術と使用中の燃料ふるまい評価における課題を解説するとともに、JAEAで実施中の主な研究開発項目を紹介した。最後に、新技術の着想から実用化までをいくつかの段階に分けて技術開発の進展を体系的に示す指標である技術成熟度(TRL)を用いて、わが国における分離変換技術の成熟度を評価した結果を示した。
藤田 峻也*; 阿部 豊*; 金子 暁子*; 長南 史記*; 湯浅 朋久*; 八巻 辰徳*; 瀬川 智臣; 山田 美一
Proceedings of 25th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-25) (CD-ROM), 8 Pages, 2017/07
核燃料サイクルにおける使用済み燃料の再処理の転換工程においてマイクロ波加熱脱硝法が使用されている。マイクロ波加熱では沸騰現象を伴うことから、突沸及び噴き零れを避ける運転条件を十分に把握する必要がある。マイクロ波加熱時の突沸現象を明らかにするため、突沸の発生について高速度カメラによる詳細な観察を実施した結果、マイクロ波照射により加熱が進行し単一気泡による突沸に至るケース、気泡の生成と停止が間欠的に起こり、最終的に単一気泡による突沸に至るケース、気泡生成を伴わず蒸発が進行するケースの3種類に分類できることを明らかにした。また、突沸を引き起こす単一気泡周辺の流れ構造の可視化に成功した。さらに、液体表面の微小気泡を観察し、その生成と成長に対する必要熱量とマイクロ波加熱に伴う放出熱量との比較評価を行い、突沸と微小気泡との関係性を明らかにした。
玉井 広史; 大久保 綾子; 木村 祥紀; 篠原 伸夫; 田崎 真樹子; 清水 亮; 須田 一則; 富川 裕文
Proceedings of INMM 58th Annual Meeting (Internet), 6 Pages, 2017/07
核鑑識は、不法に使用された核物質等の試料を分析・照合し、その起源、経路等を解明して犯罪者等の摘発に資する技術的手段であり、警察・司法組織との緊密な連携が必須である。このための国内体制の整備がIAEAをはじめ国際的な協力のもとで進められており、各国の実情に応じた技術的な対応能力の強化・推進の方策に関する考察及び地域協力の在り方に関する検討結果を報告する。